回復力の高いサプライチェーンを構築する3つの方法

現代のサプライチェーンは非常に複雑であり、多くの場合、サプライチェーンの回復力は企業にとって 最大のリスク源です。現在の新型コロナウイルスの世界的な大流行により、サプライチェーンは壊滅的な打撃を受けており、需要と供給の両面に甚大な影響が生じています。最近の調査によると、企業の81%が、この大流行の最初の発生場所である中国のサプライヤーに依存しています。現在、対面でのあらゆる取引は中断しています。

その影響は世界的なものであり、直接間接を問わず、さまざまな事柄に広がっています。回復力のあるサプライチェーンこそが、1年後に多くの企業が存続しているかどうかの決定要因となるでしょう。

ではまず何をすべきでしょうか。マッキンゼーの記事*で、今すぐ企業が取るべき行動の例として挙げられているのは、現実的な需要を評価し、バリューチェーン全体における利用可能な在庫を見積り、現金と正味運転資本を管理することです。

これらの行動のすべてにデータが必須ですが、ほとんどのデータは、一般の人には利用しがたい技術的システムに格納されています。行動を起こす必要があることは分かっていても、どのような質問をすべきかさえ分からないときに、どうやってデータを活用できるでしょうか。データを意思決定者に繋げることがThoughtSpotのミッションであるため、私たちは当然この問題について、多くの検討を重ねてきました。

おそらく貴社のサプライチェーンの回復力は、あなたが期待するほど高くないでしょう。サプライチェーンの回復力につながる方法をいくつか見てみましょう。

データを一元化する

ビジネスの平時であれば、ほとんどの経営者は企業を前進させることに焦点を置きます。システムはこれを念頭に置いて構築され、通常それぞれの特定業務に必要なデータがサイロ化されて格納されています。財務データは財務システムに、顧客データはCRMシステムに格納されています。

不確かなビジネス状況においては、必要なインサイトをどこで獲得できるのかわからない場合があります。好調時には強固であると思われたサプライチェーンは、実際には期待していたよりもずっと脆いものかもしれません。

自身の業務だけではなく、ビジネス全体のデータを視野に入れることが重要です。先進的な一部の企業は包括的なエンタープライズデータウェアハウスを構築していますが、そのような企業でさえも不足している主要なデータソースがあります。また、データウェアハウスの構築には多大な労力と時間が必要で、今の世界にそのようなリソースはありません。

まずは知りたいことを質問しましょう。単一のベンダーに依存している製品はどれでしょうか。サプライチェーンはいくつの地域にまたがっていますか。それとも「グローバル」なはずのサプライチェーンが1つまたは2つの国に大きく依存していますか。今後数か月で需要が高まりそうな製品はどれでしょうか。そして、その製品のサプライチェーンを優先的に強化するにはどうしたらいいでしょうか。すぐに利用可能な在庫を見積できますか。業種別、地理的場所、収益への貢献といった切り口で見ると、顧客の需要はどのように変化してきましたか。どこで運転資金を調達できるでしょうか。

次に、これらの質問に回答するために必要なデータソースを特定し、複数のソースにわたって質問できる機能を持つThoughtSpotのようなプラットフォームを使用して、これらのデータソースを利用できるようにします。システムではなく、データの観点から考えることが必要です。現時点での目標はデータウェアハウスを構築することではなく、複数のデータセットにまたがる質問に迅速に回答し、インサイトを発見し、それに基づいて実際に行動を起こすことです。

行動を起こすまでの時間を短縮する

ビジネスをあらゆる角度から検討できるようにデータを一元化することは、最初のステップとしては有益ですが、実際に価値を生み出すにはそれだけでは十分ではありません。ThoughtSpotは最新のデータ主導型の組織について常に検討していますが、ほとんどの企業で実際にデータにアクセスできるのは技術アナリストです。それ以外の人は、1週間以上も前に質問した内容に回答するだけの、レポートやダッシュボードにしかアクセスできません。

サプライチェーンの回復力は、ただ単に正しい質問をして計画を立てることだけではなく、迅速に行動を起こせるかどうかにかかっています。あなたが新しい質問をするたびにアナリストがそれを解釈して回答しなければならないのでは、迅速に決定を下すことが困難なだけでなく、データと対話し、短時間で対話を繰り返してインサイトを見つけることは不可能です。

実際に、最近のマッキンゼーの調査によると、タイムリーに決定を下すことができたと回答したのは回答者の半数未満であり、61%は決定を下すために費やした時間の少なくとも半分は無駄であったと回答しています。 

複数の層で構成されるサプライチェーンでは透明性が重要です。最初の質問は当然ながら「国ごとのベンダーの分布はどうなっているか」です。供給の98%が中国からである場合、次のような一連の質問をします。それぞれの質問により得られる情報が次の質問に繋がります。

  1. 「取引数ではなく取引量で見ると、国ごとのベンダーの分布はどうなっているか」(ベトナムが取引量の40%を占める)

  2. ベトナムのベンダーが供給しているのはどの製品か。

  3. ベトナム以外で同じ製品を供給するのはどのベンダーか。

従来の分析環境では、次の質問をする前に、前の質問の回答を得る必要があり、これには数週間かかることがあります。AmazonやGoogleが使用するようなテクノロジーで構築された最新の分析プラットフォームでは、質問を入力するとほぼ同時に回答が得られます。

キャパシティと運転資本を確認する<br>まず最初に質問するというこのアプローチは、するべき質問が分かっている場合や、するべき質問を特定できる場合には有効ですが、想定していなかった質問を見つけることが同じく重要な場合があります。あなたがしている質問は経験によって引き出されたものですが、しかし状況は変化しています。その質問が正しいものでなかったらどうなるでしょう。

行うべき質問が分からないことも多いでしょう。たとえば、マッキンゼーは追加の物流キャパシティと運転資本を特定することを推奨しています。これには仮説を生成してそれを迅速に繰り返すアプローチも使用できますが、大量のデータの中から探している特定の回答を見つけることは非常に困難な場合があります。

最新の人工知能と機械学習を利用すれば、正しい質問を探す労力は不要になります。1つの機会を見つけるために2万回の並べ替え分析をアナリストに依頼する必要はありません。ThoughtSpotのような最新の分析プラットフォームを使用すれば、それらの組み合わせをほんの数秒で実行し、次にユーザーの過去の動作に基づいて自動的に組み合わせをフィルタして、最も関連性の高い情報を特定できます。

ThoughtSpotをご利用いただいている大手電子機器販売業者では、売掛金勘定により一日当たり500万ドルの経費が発生しているという計算結果が出ました。同社は、習慣的に滞納する顧客や、支払い条件が普通とは異なる顧客といったデータ内のパターンを特定して、運転資金を見つけ出すための正しい行動を取ることができました。これは一日当たり数百万ドルのコスト節減につながる可能性があります。通常アナリストが数週間から数か月の時間をかけて行う仕事は、今では適切なアクセス権限を持つ人であれば誰でも数秒で実行できるようになりました。

現在の状況はほとんどの企業にとって困難なものですが、データをそれを必要とするビジネスリーダーに直接結び付けることにより、優れた企業の優位性はますます高まるでしょう。ぜひそのような企業になってください。

*ThoughtSpotは、マッキンゼー・アンド・カンパニーのグローバルなケイパビリティセンターネットワークに所属するデジタルケイパビリティセンター(シカゴ)のテクノロジーパートナーです。