セルフサービスBI戦略の立て方

ビジネスデータからもっとインサイトを得たいと思ったことはありませんか。あるいは、ビジネスのパフォーマンスについて知りたいことがあるとき、誰かの返事を待たなくても答えを出せたならと思ったことはないでしょうか。企業がIT担当者に頼ってレポートや分析を提供してもらうしかなかった時代は終わりました。セルフサービスBI(ビジネスインテリジェンス)なら、ユーザーがIT部門の助けを借りずに自分のレポートやダッシュボードを作成し、データを可視化できます。その結果、企業としても俊敏性が高まり、刻々と変化するニーズにいち早く反応できるようになります。しかし、成功するセルフサービスBI戦略を立てるにはどうすればよいのでしょうか。企業を成功に導くステップを整理すると、次の6つになります。

1.  目標の明確化

成功するセルフサービスBI戦略を立てる前に、まず目標を明確にしなければなりません。つまり、社員がデータを扱えるようにして何を達成したいのかということです。目標をはっきり認識したら、目標を達成するための計画づくりに着手できます。

全体像で言えば、セルフサービスBI戦略の最終目標は、ビジネスに関わるすべての関係者が情報に基づいたデータドリブンな意思決定を行えるようにすることです。どの企業にも当てはまるテンプレートのようなものはありませんから、独自の目標を設定することが重要です。とはいえ、次に挙げるように、一般的に念頭に置いたほうがよい目標はあります。  

  • 月間アクティブユーザー数:月間アクティブユーザー数(MAU)の測定は、意思決定にデータを利用している社員数を追跡するためにも、分析の導入が全体として順調か失敗かを経時的に追跡するためにも有効な指標です。月初にMAUを確認するようにすれば、ユーザーによるデータ利用が活発かどうかがよくわかります。

  • ユースケースの数:一般的な目標の2つ目は、ユースケースを増やすことです。初期のBI戦略は、セルフサービスBI戦略に関する能力を伸ばし、勢いをつけるための限られたユースケースから始めることもあるでしょう。先々のユースケースを特定し、測定可能な目標を設定しておき、ビジネスに照らした優先順位や価値に応じて、そのユースケースに着手すれば、チームのミッションをさらに押し進めることができます。

  • ビジネス課題解決の進捗:一般的な目標の3つ目は、注目度の高いビジネス課題の解決に効果的に取り組むことです。たとえば、経営陣が使用する全方位型のLiveboardの作成、社員の離職率の低減、ダイバーシティやインクルージョンの指標の分析などです。どのビジネスにも、この例のような企業リーダーにとって最優先であり、そしてセルフサービスBIで十分に達成可能な取り組みは多少なりともあるはずです。

2.  現状の評価

次に必要なのは、現状を評価することです。現在どんな種類のデータがあるか、そのデータはどう整理されているか、そのデータはアクセスしやすいか、といったようにデータの現状を調べれば、欠けていることや改善の余地がある領域がはっきりしてきます。

この段階は、BI成熟度モデルを作成する絶好のタイミングです。BI成熟度モデルは、企業がスプレッドシートから出発し、さまざまな段階を経て完全なセルフサービスBIに至る道のりです。地図のようなものと考えてください。成熟度モデルの情報はインターネットで簡単に得ることができます。成熟度モデルを作成する意義は、現在地を明らかにし、理想の状態を文章化することにあります。自社の成熟度を把握すれば、先に進むために必要な行動と目標を明確に定めることができるはずです。

たとえば、CEOがセルフサービスのインサイトに基づいてビジネスの意思決定をするのが理想的な状態だとしましょう。これを実現するには、自社のデータソースの種類、データソースの相互関係、検索と発見のためにデータをモデル化する方法、これから必要になるデータパイプラインの作業を理解しておくことが前提になります。成熟度モデルのアプローチを採用すると、理想的な状態までの道のりに論理的なステップを設けることになり、一気にすべてを進めるアプローチを避けることができます。このようなアプローチこそが、数々のBI計画を失敗させてきた元凶です。小さな成功を積み重ねることが、セルフサービスBI戦略にはずみがつき、期待をかきたて、最終的に戦略が成功するという大きな成果につながるでしょう。

3.  パワーユーザーの特定

セルフサービスBIを成功させる鍵のひとつは、パワーユーザーを特定することです。パワーユーザーとは、データを利用する可能性が最も高く、データ活用を強く支持する社員です。このような旗振り役を早期に特定すれば、その人たちを最初から確実に計画プロセスに含めることができます。

パワーユーザーは、組織の多くの部門にまたがる多様なユーザーを代表していると言えます。専門的トレーニングを積んだアナリストは貴重なペルソナであり、彼らを計画に含めるのは当然ですが、データからインサイトを得ることに強い関心を持つ一般のビジネスリーダーも忘れないでください。そのような人からのフィードバックと貢献もアナリストに劣らず貴重です。

4.  適切なツールの選定 

市場には多種多様なBIツールがあります。正しい選択をするには、自社のビジネスとユーザーのニーズにぴったり合うツールのリサーチが欠かせません。 

現代のデータスタックをカバーする最高のソリューションは、セルフサービスBI戦略の策定に驚くほど効果的です。なぜなら、最高のソリューションを提供するツールは導入が簡単で、大規模なスケーラビリティがあり、アーキテクチャー全体における設定可能なコンポーネントとして機能するからです。これらの要素を考慮して、データの収集、処理、保存に採用するテクノロジーを慎重に評価してください。その結果、効率性の向上、俊敏性を強みにしたイノベーション、ビジネスのスピードアップが実現します。 

5.  ユーザーのトレーニング  

適切なツールを選んだら、ユーザーにツールの効果的な使い方をトレーニングすることが重要です。十分なトレーニングを提供すれば、社員がツールの性能を最大限に活用できるようになり、データを正しく解釈する方法も会得できます。 

こういう格言があります。「何人かをいつも満足させることはできる。時には全員を満足させることもできる。しかし、全員をいつも満足させることはできない」。この格言のとおり、どう頑張っても、すべてのユーザーに満足のいくトレーニングを1回で提供することはまず不可能です。ユーザーのペルソナに応じてトレーニングを組み立てるようにしてください。たとえば、部門別(マーケティング、財務など)、あるいはスキル別(基本ユーザー、上級ユーザー、管理者など)の分類が考えられます。 

私の知るかぎり、スキル別が最も一般的です。その場合、基本ユーザー向けトレーニングは、30分ほどの入門編にとどめますが、ユーザーがBIプラットフォームを操作してインサイト作成を体験できる内容にすることをお勧めします。上級ユーザー向けトレーニングになれば、所要時間を1~2時間に延ばし、依頼者のためにインサイトを作成する講習も含めてもよいでしょう。最後に、管理者向けトレーニングは、プラットフォームを細部まで習得するために一連のコースになることがあります。

6.  モニタリングと調整 

セルフサービスBI戦略を実行に移したら、その効果をモニタリングして、必要に応じて調整することが重要です。時間とともに状況は必ず変化します。ですから、必要ならば柔軟に見直すことが重要なのです。 

このステップの最も簡単な出発点は、自分が考えるセルフサービスBI戦略の成功とはどのようなものか自問することです。この問いに答えることで自社にとって成功とは何を意味するのかがはっきりします。そこを出発点にすれば、成功を測るためにどんな指標を使えばよいか判断できます。成功の定義は企業によってさまざまですが、多くの企業に共通しているのは、インサイトをほぼ全社員が利用できるようにすることです。 

それが成功の定義ならば、月間アクティブユーザー数(MAU)が進捗のモニタリングに適した指標になるでしょう。単純な公式として、「1か月前のMAU÷2か月前のMAU=定着率」というものがあります。定着率が100%以上なら、前月よりユーザーが増え、順調に伸びているということです。定着率が100%未満なら、ユーザーが減ったということであり、ユーザーサポートを調整する措置を講じる必要があるというシグナルになります。

セルフサービス分析を目標として正しい方向に一歩踏み出す

セルフサービスBI戦略を実行に移すことは、一筋縄ではいきませんが、努力に見合う価値は十分にあります。適切なツールとトレーニングがあれば、社員は自由に使えるデータを最大限に活用して、ビジネスのパフォーマンスに関する重要な問いに答えを出せるようになります。ThoughtSpotは、セルフサービス分析に一歩踏み出す企業をサポートする最適なツールです。今すぐ無料トライアルを申し込んで、初めの一歩がいかに簡単であるかを体験してください。