ビジネスが成功するかどうかは、顧客やパートナー、ベンダー、従業員に提供するエクスペリエンスの質にかかっています。このようなエクスペリエンスのあらゆる基となるのがデータです。データを活用して価値を提供することこそが、市場シェアの獲得や戦略的意思決定の迅速化はもちろん、要求の厳しい今日の消費者を惹きつける唯一かつパワフルな方法と言えます。
一方で、課題もあります。
人間とマシンの間に存在する言語の壁によって、私たちの多くがインサイトやデータ分析にアクセスできないというものです。私たちと同じように話したり考えたりする方法をマシンに教えることができないため、私たち人間が、コードを用いてマシンと対話する方法を学ばなければなりませんでした。「データを話す」ことができない場合は、データを行動に結びつくインサイトへと変換してくれるアナリストやデータサイエンティストに頼らざるを得ません。そのため、データチームへのリクエストは後を絶たず、ビジネスユーザーは直感に頼って意思決定することが多くなっているのです。
今までは、このような選択肢しかありませんでした。しかし、これからは違います。
人間とマシンの言語ギャップを埋める
GPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM)の登場により、マシンが私たちの言語を話すようになりました。このことは、極めて大きな意味を持ちます。大規模言語モデルは、私たちとマシンの関係性を根本から変えました。
モダンデータエクスペリエンスでは、同僚に質問するのと同じようにデータを照会することができます。自然言語の柔軟性や曖昧で漠然とした表現を駆使して、正確な回答を得ることができるのです。ThoughtSpotでは、過去10年間にわたり、誰もがデータに「話しかけ」、自然言語で質問できるプラットフォームを構築してきました。しかしこれからは、GPTとの統合により、データが答えを返してくれるようになるのです。
データと検索の関係
ThoughtSpotでは、セキュリティ、正確性、信頼性を損なうことなく、市場のどの製品よりもはるかに使いやすいデータ分析システムおよびユーザーエクスペリエンスを構築することを使命としています。私たちは、誰もがコードを学ぶことなく独自のデータを検索し、必要な答えやインサイトを見つけることのできるセルフサービス分析を提供したいと考えています。
この大きな目的を達成するため、課題を以下の2つに分けました。
バックエンドシステムの構築:自然言語によるクエリーからユーザーの意図を推測し、AIを駆使してセマンティックレイヤーのモデル化、正確なデータの取得、値の算出、正確な回答を行えるほか、回答の対話型ビジュアライゼーションを実現できるバックエンドシステムを構築します。
自然言語フロントエンドの構築:質問からユーザーの意図を抽出し、バックエンドにタスクを実行させ、自然言語の回答をユーザーに提供します。
現在、ThoughtSpotのバックエンドは、複雑なデータを処理できるとともに、あらゆるクラウドデータプラットフォームに対応しています。また、ユーザーが日常的に利用するあらゆるツールと統合されており、行が何兆あろうと高速で処理を実行することができます。一方で、2つ目のカテゴリーであるフロントエンドに関しては、必要となる言語モデルがまだ存在していませんでした。
そこでThoughtSpotでは、自然言語でデータを扱うのに必要な、安全かつ制御可能なインフラストラクチャーを構築することに注力し、大規模言語モデルを本当の意味で利用できるようになるまで、その成熟を注視していました。
そしてまさに今、その時が到来したのです。
GPTとAIによる検索の変化
大規模言語モデルは、人間とマシンに新たな関係をもたらす強力なツールです。しかし、ビジネスのコンテキストで回答を検索する仕組みを本質的に変革するには、このテクノロジーとAIを組み合わせる必要があります。
GPTを使ったことがある方であれば、GPTには限界があることをすでにご存じでしょう。GPTは、どのような質問にも確かに答えてはくれますが、そのすべてが信頼できる回答であるとは限りません。現状、GPTは複雑なデータ(特に数学の表や計算)の読解を苦手とします。これだけでは、ユーザーは重要なビジネス上の意思決定を躊躇してしまうでしょう。
一方で、期待できるものもあります。それこそが「検索」です。多くの人にとって、データにアクセスし、利用し、活用する仕組みがGPTのおかげで劇的に変化します。大規模言語モデルにより、シンプルかつわかりやすいビジネス上の質問をしてデータを操作できるようになったのです。この能力と検索を組み合わせることで、パーソナライズされたデータ検出という新たな波が到来するでしょう。
そこで登場するのが、ThoughtSpotとモダンデータエクスペリエンスです。
ThoughtSpotが提供するモダンデータエクスペリエンス
GoogleやMicrosoftといった企業のチームが言語モデルの構築やトレーニングを行っている間、ThoughtSpotでは、このようなモデルをデータとうまく連携させるためのアーキテクチャーを構築してきました。それこそがThoughtSpot Sageです。これは、データエクスペリエンスに対する考え方を根本から変えるものです。
ThoughtSpot Sageの仕組み
ユーザーが質問をすると、ThoughtSpot Sageはまず、回答に関連するデータを見つけ出すことから始めます。システムは、その分析を用いて、GPT(または他のモデル)が質問を理解し回答するために使用すべきデータを絞り込みます。これにより、GPTは自然言語の質問をはるかに高い精度で解析しやすくなります。
次に、ThoughtSpot Sageは質問をGPTのプロンプトに変換し、GPTが最適な回答を提示するために必要な関連情報を提供します。
GPTが文を解析すると、抽象的なテーブル上に抽象的なSQLが生成されます。そして、ThoughtSpot Sageはその抽象的なSQLをキーワードトークンに変換し、そのキーワードトークンを、現実の複雑なスキーマに対応し、特定のクラウドプラットフォームに最適化された、より正確なSQLに変換します。
ThoughtSpot SageはAIを活用して、回答と共に自然言語による説明文を生成します。そして、回答が正確かどうかを確認するために、生成されたクエリーに対して最終的なチェックを行います。
ほんの数分で、質問に対する回答とその説明文を含むインタラクティブなグラフが提示されます。
ThoughtSpot Sageによるビジネス上のメリット
ThoughtSpotは、熱心なデータギークと同じように、技術革新に胸を高鳴らせています。それだけでなく、言語モデルとAIを活用したアナリティクスの統合によってもたらされるビジネスの大きな可能性にさらなる期待を寄せています。
ThoughtSpot Sageでは、次のようなことができます。
ビジネスリーダーのように質問し、データアナリストのようにインサイトを入手する
データモデルに取り込んだり、分析カタログを検索したりして、自社の組織的なナレッジを活用する
AIによるデータ検索と自然言語による説明で、新たなインサイトを発見する
データのインパクトを確実に高めて、モデルへのフィードバックを継続的に行うことで、ビジネスの成果を長期的に向上させる
興味をお持ちの方は、Beyond 2023のセッション(オンデマンド)をぜひご覧ください。モダンデータエクスペリエンスを活用する方法を確認いただけます。